「野島 稔・よこすかピアノコンクール」にゆかりのあるピアニストたちが2回にわたりお贈りする一期一会のコンサート
横須賀に生まれ、日本を代表する国際的ピアニストとして活躍した故・野島 稔氏(1945 -2022)。
その唯一無二の美しい音色や研ぎ澄まされた技巧、磨きぬかれた深い音楽性により”ピアノ芸術の真髄を伝える貴重な演奏家”と評されました。
横須賀芸術劇場では1994年の開館以来、リサイタルや協奏曲でたびたび出演。2006年からは自身の名を冠した「野島 稔・よこすかピアノコンクール」の審査委員長として、次世代の優秀なピアニストの発掘と育成にもご尽力いただきました。
野島氏に想いを馳せて、ゆかりのピアニスト達が協演する特別な2日間となります。

第1回 ピアノ協奏曲
2024年5月3日(金・祝)15:00開演(14:15開場)

よこすか芸術劇場
  • 指 揮 高関 健
    管弦楽 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
  • 野上真梨子 (第5回コンクール 第1位)

    モーツァルト
     ピアノ協奏曲 第27番 変ロ長調 K.595

  • 小井土文哉 (第6回コンクール 入選)

    ラフマニノフ
     ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 Op.18

  • 若林 顕 (第3回~第6回コンクール 審査委員)

    プロコフィエフ
     ピアノ協奏曲 第2番 ト短調 Op.16

  • 伊藤 恵 (第8回~第9回コンクール 審査委員)

    ベートーヴェン
     ピアノ協奏曲 第5番 変ホ長調 Op.73 「皇帝」

出演者/プロフィール

第2回 ピアノGALA
2024年5月18日(土)15:00開演(14:15開場)

よこすか芸術劇場
  • 本堂竣哉 (第9回コンクール 第1位)

    J.S.バッハ
     ファンタジアとフーガ イ短調 BWV904
            トッカータ ニ長調 BWV912

  • 安並貴史 (第7回コンクール 第1位)

    シューベルト
     即興曲 第3番 D899 Op.90-3
    ドホナーニ
     トッカータ Op.17-2
    ブラームス
     創作主題による変奏曲 ニ長調 Op.21-1
    ドホナーニ
     アリア Op.23-1

  • 野平一郎 (第2回~第7回コンクール 審査委員)

    J.S.バッハ
     平均律クラヴィーア曲集 第1巻より
            第1番 ハ長調 BWV846/第8番 変ホ短調 BWV853
    武満 徹
     ピアノ・ディスタンス
    レノン&マッカートニー(武満 徹 編曲)
     ゴールデン・スランバー
    武満 徹
     閉じた眼Ⅱ

  • 上野 真 (第6回~第9回コンクール 審査委員)

    ベートーヴェン
     ピアノ・ソナタ 第21番 ハ長調 Op.53 「ワルトシュタイン」

  • 東 誠三 (第6回~第9回コンクール 審査委員)

    ベートーヴェン
     ピアノ・ソナタ 第31番 変イ長調 Op.110

  • 迫 昭嘉 (第1回~第5回コンクール 審査委員)

    ベートーヴェン
     ピアノ・ソナタ 第32番 ハ短調 Op.111

出演者/プロフィール

出演者からの
メッセージ

野島 稔の不思議な偉大さが現れる2日間

コンサート監修/第9回野島 稔・よこすかピアノコンクール審査員長代行
梅津時比古

野島 稔・よこすかピアノコンクールの名称は、野島先生が自ら望んで付けたものではありません。野島先生が最後まで抵抗なさっていたのを、私が押し切りました。
このコンクールの予選でベートーヴェンのピアノ・ソナタの全楽章を弾く課題は、最初から最後まで、野島先生が変えなかったものです。このようなコンクールは世界に他にありません。
野島先生はベートーヴェンだけのスペシャリストではありません。聴衆は野島先生のバッハに心が洗われ、シューベルトに美しい狂気を感じます。シューマンの音を聴くと夢のさなかにいるよう。ラフマニノフには深い雪を思い、プロコフィエフに精神の途轍もない幅を教えられます。すべてのスペシャリストでした。
「パチンコ玉はラヴェルの音のように美しい」とパチンコが好きだった野島先生が口にしたという伝説は本当です。その野島先生のラヴェルの演奏は、この世のものとは思えないほど魅力的で、そして精神の孤独を突きつける。
これらのことはコンサート、レッスンを通し、お付き合いを経て、自然に周りの人の心に染み入り、伝わっています。今回の2回のコンサートでは、必ずや、野島先生の不思議な偉大さを思い出すでしょう。

野島 稔・よこすかピアノコンクール

ピアノ愛が高鳴るトリビュート・コンサート

音楽ライター 城間勉

野島 稔氏は、コンクールの審査の際、どのような演奏を高く評価しますか?という問いに対し「審査していることを忘れさせてくれる演奏かなぁ、、あとはベートーヴェンだと緩徐楽章での表現ですかねぇ、、」といったことを常々おっしゃっていたが、これ考えてみるにかなりハードルの高い要求ではなかったろうか。技術的な部分以上に演奏家の音楽性や経験値が問われるのだから。しかも毎回ベートーヴェンのソナタというピアノ曲の聖典が課題となっていたのである。実際のところ、難関を突破し優勝・入選を果たした人たちは現在檜舞台で活躍している実力者たちばかり。
今回、コンクール時よりも一段と成長を遂げている新鋭・俊英4人と、野島氏とともに審査委員を務めた「現役」として活躍し日本のピアノ界を牽引する名匠6人が競演するというピアノファンにとって最高に興味深い(ある意味スリリングでもある)コンサートが全2回の形で、しかも名曲コンチェルトとソロという盛りだくさんの内容で実現する。これだけの奏者と多彩な演目(バッハからジョン・レノンまで!)を見れば、もはや“ピアノ・フェスティバル”と呼んでも過言でない。9回にわたり行われた「野島 稔・よこすかピアノコンクール」と同じ会場である豊かな響きの大ホールのなかで、野島氏自身の格調高い演奏や穏やかな人柄に思いをはせながらピアノ芸術の深い世界を多くの人と存分に満喫したい。

チケット(全席指定・税込)※来場者にはメモリアル・ブックを差し上げます。

野島 稔

1945年横須賀市に生まれ、3歳からピアノを始める。桐朋高校、桐朋学園大学、ソビエト留学まで故・井口愛子氏に師事。高校3年の1963 年に第32回日本音楽コンクール第1 位大賞受賞。1966年ソビエト文化省の招きでモスクワ音楽院に留学、レフ・オボーリン氏に師事した。1968年海外派遣コンクール優勝、1969年に第3回ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで第2位に入賞し、1970年のニューヨークのカーネギー・ホールデビューリサイタルで大成功を収める。以降、世界各地でリサイタルや国内外の主要オーケストラとの共演など目覚ましい活躍を遂げた。
1986年にはモスクワ、1988年レニングラードで松村禎三氏のピアノ協奏曲第2番を演奏し、いずれも最大の賛辞を集めた。1992年にはNHK交響楽団との数々の名演が評価され、有馬賞受賞。1994年にサントリーホールで「野島 稔・プレイズ・ラヴェル」を行い「近来まれに見る最高級の演奏」「奇跡的な技術と磨き抜かれた音楽性の円熟の極致」など絶賛を博した。桐朋学園大学特任教授、桐朋学園大学院大学教授を歴任。2001年からは仙台国際音楽コンクールピアノ部門審査委員長、2006年からは自身の名を冠した「野島 稔・よこすかピアノコンクール」審査委員長をつとめ、2011年には東京音楽大学学長に就任、後進の育成にも尽力した。第57回神奈川文化賞、第70回日本芸術院賞受賞。

野島 稔・よこすかピアノコンクール

横須賀市制100周年を記念して2006年に創設。横須賀市出身の世界的ピアニストである野島稔氏を審査委員長に迎え、日本国内の若く才能あるピアニストの発掘と育成および音楽文化の普及と振興を目的として、横須賀市との共催により隔年で開催し2022年まで全9回実施しました。(第8回コンクールは新型コロナウイルス感染症の影響により中止)
本コンクールは、野島氏のピアニストとしての理念に基づいた特長的な課題曲を設定したり、出場者が予選から本選まで一貫して大劇場で演奏でき、審査委員との交流も図れるなど、参加者にとってのステップアップの場として認知いただき、全国から延べ 640名の若いピアニストが参加しました。入賞・入選者には、財団主催の公演への出演機会を提供するなど、継続的な支援も行いました。
また、コンクール期間中は、予選・本選とも一般無料公開することで、市内外を問わず、多くの方に若いピアニストの多様な演奏を鑑賞する機会を提供しました。
これまで参加したピアニスト達が、現在では演奏家として、教育者として日本の音楽界の様々な場面で活躍をしており、本事業は日本のクラシック音楽界の振興と地域における音楽文化の普及に貢献しました。

野島 稔・よこすかピアノコンクールWEBサイト

野島 稔・よこすかピアノコンクール