YOKOSUKA ARTS THEATRE

世界の民クルに成長するのは間違いない
ピーター・バラカンが語る「民クル」

ピーター・バラカン(ブロードキャスター)

 久保田麻琴さんに初めて民謡クルセイダーズを聞かされた2017年のときから、ついにぼくが待ち望んでいた日本のバンドが登場したことを感じました。

 1978年に発表された大瀧詠一の「Let’s Ondo Again」が大好きでした。パロディのアルバムではありますが、あそこまでロックのサウンドと日本の土着的なリズムをうまく合体させた音楽をぼくは初めて聞きました。こんなことを 誰かが本気でやったら絶対に世界的に認められると確信したのです。それからほぼ40年かかりました。

 10人編成のうち2人だけがプロのミュージシャンという民謡クルセイダーズは最初は素人っぽかったけれど、ライヴをこなして行くうちに自然と演奏力が身についてグルーヴが強烈になっていきました。何よりもやっている本人たちの楽しそうな雰囲気がびんびん伝わってきます。クンビア、サルサ、レゲエ、アフロビートなどのリズムに乗せた日本の民謡は最強のノリです。

 そうこうしているうちに南米のコロムビアから声がかかり、続いてヨーロッパのツアーが決まって、オランダのフェスティヴァルでの演奏がイギリスのレーベルから発売されました。もう時間の問題だ、というタイミングで起きたのがコロナ・ウイルスのパンデミック。2年間海外での活動が不可能になりましたが、今年の春、久しぶりに民謡クルセイダーズはワシントンDCの桜祭り(※1)に呼ばれて、その直後に行うのがこの横須賀公演です。

 世界の「民クル」に成長するのは間違いないと思います。その前にぜひこの姿を(できれば踊りながら)楽しんでください。

(※1)桜祭り ・・・2022年 3/20~4/17の期間、ワシントンで開催する日米友好イベント。民クルは、3/20のオープニングセレモニーに出演予定。https://nationalcherryblossomfestival.org/event/opening-ceremony/

■ピーター・バラカン(Peter Barakan)                                                     1951年ロンドン生まれ。ロンドン大学日本語学科を卒業後、74年に音楽出版社の著作権業務に就くため来日。現在フリーのブロードキャスターとして活動、「バラカン・ビート」(インターFM)、「ウィークエンド・サンシャイン」(NHK-FM)、「ライフスタイル・ミュージアム」(東京FM)、「ジャパノロジー・プラス」(NHK BS1)などを担当。著書に『ピーター・バラカン式英語発音ルール』(駒草出版)、『Taking Stock どうしても手放せない21世紀の愛聴盤』(駒草出版)、『ロックの英詞を読む~世界を変える歌』(集英社インターナショナル)、『わが青春のサウンドトラック』(光文社文庫)、『ピーター・バラカン音楽日記』(集英社インターナショナル)、『魂(ソウル)のゆくえ』(アルテスパブリッシング)、『ラジオのこちら側』(岩波新書、電子書籍だけ)、『ぼくが愛するロック 名盤240』(講談社+α文庫、電子書籍だけ)などがある。2014年から小規模の都市型音楽フェスティヴァルLive Magicのキュレイターを務める。
ウェブサイトはhttps://peterbarakan.net/

公演情報》
見砂和照と東京キューバンボーイズ VS 民謡クルセイダーズ 大パノラマ コンサート
~ラテンと民謡が火花を散らす!~ ゲストDJ:ピーター・バラカン
2022年4月9日(土) 16:00開演(15:00開場) よこすか芸術劇場  チケット好評発売中!

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