YOKOSUKA ARTS THEATRE

よこすか芸術劇場 天井改修工事レポートVol.3

前回は、どん帳や幕類、座席撤去のことをお伝えしました。

 今回の改修工事には、実際に工事を請け負う代表企業やその協力会社のほか、施工監理会社、発注者である横須賀市役所職員など、多くの関係者が携わっています。
 その中で、我々はというと、横須賀芸術劇場を管理する立場から、関係者間のパイプ役を担っています。

 全員が揃う定例会議は、月に2回。
 そのほか、工事の請負業者とは、毎週会議を開催しています。

 「来週、○○をやろうと思っていますが、大丈夫ですか?」
 「大丈夫です。✕✕には気をつけてください。」

 ヨコスカ・ベイサイド・ポケット(小劇場)は通常営業を続ける中、劇場職員が勤務しながらの工事のため、調整することは思いのほか多くあります。
 コンスタントに開かれる会議は、進捗報告や新たに見つかった課題を共有して解決する重要な機会になっています。

 任されている役割は違いますが、工事に携わる関係者全員が思うことは1つです。
 「どうか、事故なく無事に工事が終わりますように」ということで、安全を祈願し、客席内に天井までの足場を組んでいきます。

 家の外壁や屋根の補修などでよく見かけるのは、単管パイプ(直径約5cmの鉄パイプ)を組み合わせて組む「単管足場」と呼ばれるものですが、今回の工事では「くさび式」が採用され、そこに「アンチ」と呼ばれる棚板を敷き詰めて、人が乗って作業できる水平の床板が付いた「棚足場」が組まれます。
 「棚足場」は、工事以外の場面でも、野外ステージなどで見かけることができます。ご存知のとおり、よこすか芸術劇場は客席が5階まであるため、その高さはなんと25mにもおよびます。

 工事前の打合せで、設計図を見ながら「客席の前の方はオーケストラピットがあって、その下は空洞なので、床下を補強してあげないと足場が動いてしまうかも」とお伝えした時に、関係者の方が「えっ!そうなの?」という反応をされていたのは、いまとなっては笑い話で、もちろんしっかり対策していただいての作業です。

 「いったいどれだけの作業員や機材が入ってくるの?」
 「カシャン、カシャンと、相当な音が館内に響き渡るんじゃない?」

 頭の中では、街なかで聞く工事現場の音をイメージしていました。

 ところが・・・。

 いざ、始まってみたら、さすが、よこすか芸術劇場!
 ホールとしての防音性能を発揮して、客席の扉の外にほとんど音がしない!
 改めて、ホールとしての基本性能の高さを体感できました。(当たり前とはいえ、素晴らしい!)

 作業には、パイプを約300本使ったそうです。

 客席エリアの後方から順に、わずか数名の手で、オーケストラピットの床下補強を含めて1ヵ月半で、サクサクと組み上げてしまいました。
 あっという間に、客席エリアの棚足場、完成!
 短時間でこれだけのものが組み上がり、ビックリです。

 この度、棚足場にのぼって天井を間近で見てきました。

 工事関係者とともに、客席5階(建物7階)のロビーから乗り込み、足場パイプに囲まれた階段をのぼって、棚足場の最上部(客席床面から約22mの地点)へ。

 棚足場の上は、まさに未知の空間。
 一面に敷きつめられた作業床に驚くとともに、まず最初にやったことは、

 ・・・天井に触る。

 「いつも見上げていた天井を、直接触る日が来るなんて・・・。」

 作業床が隙間なく敷きつめられているため、まったく怖くなく、歩き回って写真を撮りました。

 この棚足場は、天井の張り替えだけでなく、天井に設置されている照明器具や音響設備(スピーカーやマイク)、空調設備や消防用設備(スプリンクラーや煙感知器)といったインフラ設備の撤去などにも利用されます。
 それらの撤去が終わると、いよいよもって、天井の解体作業に入ります。

 「Vol.1」でもお伝えしたとおり、今回の長期休館を利用して、天井改修のほかに、舞台照明や舞台音響の設備更新も行われます。

 今後、天井改修以外のことにも触れていきたいと思います。

 工事関係者の皆さん、最後まで「どうぞご安全に!」
 それではまた、次回お会いしましょう。

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