YOKOSUKA ARTS THEATRE

夏の暑さを吹き飛ばすような爽やかなハーモニー 「横須賀芸術劇場少年少女合唱団ステージ44 サマー・コンサート’24」 公演レポート

 横須賀芸術劇場専属の児童合唱 横須賀芸術劇場少年少女合唱団は、2024年7月にヨコスカ・ベイサイド・ポケットで定期公演を行いました。

 今回は“希望”をテーマに、ミサ曲(原語)から時代を越えて親しまれるポピュラーソングや日本の民謡を題材とした曲まで、多彩なプログラムをお贈りしました。ジュニアクラス(小学2年生~4年生)、ミドルクラス(小学5年生~中学2年生)、シニアクラス(中学3年生~高校3年生)が、それぞれクラスごとに、またいっしょに清らかな歌声と響きをお届けしました。

<第1部>

 ミサ曲は、合唱の根本であり、その本質となるものであるため、ラテン語等で歌うのはとても難しいのですが、この合唱団ではとても大事にしているレパートリーです。このたびは、フランスの作曲家、フォーレ没後100年の記念の年にちなみ、ミドルクラスは「Maria, Mater gratiae (恵深き御母マリア)」」を、シニアクラスは「Ave Verum Corpus (アヴェ・ヴェルム・コルプス) 」に取り組みました。その他、シニアクラスは、プーランク「Ave Verum Corpus (アヴェ・ヴェルム・コルプス)」も披露。モーツァルト「Ave Verum Corpus (アヴェ・ヴェルム・コルプス)」はミドルクラスとシニアクラスで演奏しました。曲ごとにフォーメーション(歌う位置)を変え、少し緊張しながらも西洋音楽の美しいハーモニーを響かせることができました。

 日本の民謡にちなんだ曲ではミドルクラス、シニアクラスが、現代の日本を代表する作・編曲家 松下 耕の作品に取り組みました。日本語で歌うことには、外国語で歌うこととは、また違った発声と発音を求められます。ア・カペラ2曲「ちーちーちったんこの」「ねんね根来の」では歌詞がよく伝わるように発声に気をつけ、繊細な日本固有の音を表現しました。また、松下氏の最新の作品「讃歌・未来へ」では、メッセージを力強く、歌い上げました。

<第2部>

 小学2年生~4年生30名のジュニアクラスには、今回初めて本番を経験する団員もいました。「ARUKI☆DASOU」では1日を元気にスタートしよう、夢にむかって前に進もうという明るい歌詞を元気いっぱいに歌いました。そして「ねえ歌おう」は、聴いている人に語り掛けるように歌うことができました。

 続いて、心に残るようなメッセージ性のある楽曲をミドルクラスとシニアクラスの70名が、抒情豊かに、時にリズミカルに表現しました。坂本九の大ヒット曲「上を向いてあるこう」「心の瞳」は、言葉の一つ一つを大切に繊細に歌いました。続いての「WAになって踊ろう」はボディパーカッションや手拍子、相づちを加え、見た目にも楽しい雰囲気を醸し出せました。そして、「いのちのうた」は、団員に人気が高く、過去に演奏した先輩たちに憧れて取り組んできました。本編最後ということで背一杯の歌声を披露しました。

 そして、いよいよアンコール。合唱団の創立から年々歌い継がれている大切な作品を披露しました。ミドルクラス、シニアクラスで「このうるわしき大地に」、「ともだちはいいもんだ」を、その後ジュニアクラスも加わり「元気に笑え」、「さよならのうた」を大らかに楽しく歌い上げ、客席から自然と手拍子が起こり温かい一体感が広がり大団円を迎えました。

横須賀芸術劇場少年少女合唱団
1997年創立。プロの指導のもと、基礎から学び、継続した練習を経て、プロ演奏家との共演もできる、音楽性の高い合唱団を目指している。年2回の定期演奏会を行うほか、オーケストラとの共演やレコーディング、市内福祉施設への訪問コンサートなど幅広い活動を展開している。団員は小学2年生~高校3年生まで約110名。