YOKOSUKA ARTS THEATRE

新春 よこすか能 観世喜正プロデューサーに伺いました

Q 今回の公演、住吉詣、六地蔵という作品を選定したことについて

-- 今回のよこすか能はお正月の開催です。「なるべくお正月らしく華やかな演目がいいかな」ということを考えました。また、よこすか芸術劇場は大変大きな劇場なので、多くの人数が出てくる舞台から、源氏物語の住吉詣という演目を選びました。

 これは光源氏が京都の都から大阪の住吉大社を参詣するという大変華やかな行列と後半には明石の上が登場して光源氏と一緒に舞を舞って心を通じ合うという華やかな場面で構成をされているので、お正月にふさわしい演目だろうと思います。

 狂言の六地蔵はおなじみの野村萬斎さんに上演していただきます。タイトルからある程度想像はつくかもしれませんが、悪い人間たちが仏を作る、お地蔵を作るといって人を騙すというお話。そしてその騙し方とは実際に物は作らないのです。

 生身の人間があたかも仏像のふりをする大変に狂言らしい、意外とちょっとしたドタバタ劇だけれども、これも新春はじめて笑うには非常にいい曲だと思いますので、楽しい場面で大いに笑っていただきたいと思っております。

Q 住吉詣の見どころ、聴きどころについて

-- 住吉詣は、現在能(※)、現在ものと言われる形式でございます。ストーリーが現在進行形で進んでいくんですね。能の中には幽霊が登場して過去を回想しながら物語を繰り広げるというものもあるんですが、その形式ではありません。

  ※現在能 ・・・ 現実の世界で起きる事件や出来事を題材として描かれる能のこと

 まず、冒頭に光源氏の一行が登場します。京都から大阪まで大行列を組んで出てくるんですが、その中に「童随身」という子供たちが数名付き従っております。源氏物語の記述によりますと時の帝から光源氏のために遣わされた少年たちなのですが、近衛兵の格好をした少年武者の形をしているんですね。

 大変華やかなこの子供たちを引き連れて出てくるというのが、この住吉詣の見どころの一つになっています。そして今回は、童随身の6名の子供の役を地元横須賀の小学生の皆さんに演じていただきます。立候補し、選ばれた小学生の皆さんと一緒にお稽古を積み重ねながら、皆さんに披露します。

 後半では、(私が演じる)明石上が、光源氏と心を通わせ合いながら「相舞(※)」と言って一緒に舞をまったりしているところがまるで王朝絵巻のように美しく見える場面かなと思っております。

  ※相舞 ・・・ 二人以上の演者が同じ舞を同時に舞うこと

Q 最後に皆様へメッセージを・・・

-- 長きにわたって続いておりますよこすか能。今回も蝋燭能の形式でお届けをいたします。そして、地元の小学生の皆様にも出演をしていただいて、皆で華やかに盛り上がり、新春の初能の初共演ということですので、是非是非お楽しみをいただきたいと思います。来場をお待ちしております。

<公演概要>

新春 よこすか能
観世喜正プロデュース 蝋燭能『住吉詣』(字幕付)

観世喜正プロデュース 蝋燭能『住吉詣』

2024年 1月13日 (土) 16:00開演 (15:15開場)
よこすか芸術劇場
S席:5,000円 A席:4,000円 B席:3,000円