無病息災や邪気を払うための日として知られる、伝統的な年間行事「五節句」。そんな一番最初の人日の節句に、流派を超えて集結した日本舞踊界注目の12人の男たちが、おめでたくも賑々しい演目を揃えよこすか芸術劇場の大舞台で舞い踊ります。
今回は出演者の中から、横須賀で活躍を続けられる、西川扇衛仁さんにインタビューをしました。
‥‥勝手ながら、日本舞踊は女性が「しゃなりしゃなり」と、眉目秀麗なイメージがあります。今回の男性舞踊家による「弧の会」、どのような所が違うのでしょうか?
皆様が思い描くに日本舞踊のイメージとは、個々が衣装を着けて、かつら、メイクを施した歌舞伎舞踊の印象が強いのではないでしょうか。その作品群は日本らしい内に秘めた思いや奥ゆかしさ、継承された身体の型やすばらしい様式美に彩られています。弧の会のコンセプトとして紋付袴姿の「素踊り」「群舞」という方法で、基本の型に執着せず身体表現のみで、人物・時代・風景・物事などを舞踊化し、観客と表現者の間で生まれる様式美の想像を共有できるところに魅力があるかと思います。
‥‥弧の会の特徴「群舞」。これはどのような見どころがあるのですか?
弧の会は、流派の垣根を超えて手を携えたユニットです。個人では表現しきれない舞踊表現を男性舞踊家の力強い身体表現と、各流派で養った個々のプライドの集結により群舞の迫力を増し、一人一人の舞踊的手法は違っても、一つの塊になるところが、弧の会群舞の特徴です。
‥‥公演の内容で注目するところは?
「御柱祭」をはじめとする、弧の会のコンセプトを体現した“コノカイズム”に満ちた演目すべて…。幕間の演目解説など、舞台に流れる弧の会メンバーの楽しくも柔軟な空気感にも注目してもらえれば…
‥‥普段からお忙しく活動されている皆様。地方の公演もたくさんあると聞いておりますが、エピソード等ありましたら教えてください。
弧の会メンバーそれぞれが個々の活動をしている中の稽古となるので、集まる時間も様々、深夜まで及ぶ時も多々あります。また振付作業になると、メンバーそれぞれに想いがあるので、色々な振り付けが出てきて言いたい放題…。しかし気心の知れた仲間同士、稽古を重ねた中で自然と一つの作品にまとまるのが、弧の会らしいところです。公演に廻れば、各地のおいしい御食事と大好きなお酒で大騒ぎ…。 今はコロナ禍でそれが叶わないときもありますが、とにかく“楽しい”メンバーです。
‥‥今回は横須賀芸術劇場では3年ぶりとなる新春公演。注目ポイントを教えてください。
横須賀芸術劇場の迎春特別公演という事で、初春を寿ぐ演目をそろえました。踊り初めに皆様の一年の幸せと安泰を願う「若獅子」。舞台に飾られた酒樽と鏡餅の前で繰り広げられるユーモアあふれる「酒餅合戦」で初笑い。そして上演回数が70回を超える弧の会の代表作品「御柱祭」。一年の始まりに弧の会の清新な日本舞踊をお楽しみいただければと思います。
横須賀芸術劇場2023年迎春特別公演
日本舞踊家集団・弧の会 「コノカイズム」
※公演の詳細、チケット情報はリンク先をご覧ください。