モルゴーア・クァルテットがようやく横須賀に来ます!!実は2年前にこの横須賀公演が予定日されていたにも関わらず、メンバーの急病により残念ながら中止とせざるを得ませんでした。モルゴーアにとって特にエキサイティングなライブ、として位置づけていたので、同じように楽しみにしていた方々の落胆された気持ちを想像するに、さらに辛くなる思いでした。しかしながらこうやって、再び機会を与えてくださったことに大きな感謝の気持ちです!
「今が一番元気!」と顔をほころばせ、自信を覗かせる完全復帰したメンバーとともに、改めて期待に胸を膨らませています。
さて、2年という期間の間に世界を揺るがせている新型コロナウィルス禍が起きました。いま音楽家は、『制限された環境』のなかで、どう音楽と向き合っていくか、が問われているといます。それに思いを至すに、あえて当初予定していた曲を変更することを決断いたしました。
ベートーヴェンを別の機会に回して、ショスタコーヴィチの登場です。 モルゴーアにとって活動のルーツにあるのは改めて申し上げるまでもないでしょう。
こうしてコンサート全体はよりアグレッシブさをアップ・トゥ・デイトさせました!
そう・・
私たちモルゴーアがエマーソン・レイク&パーマーを弾く。この『弾く』ことを言い換えれば、、擦り、、叩き、、跳ね回り、、捩じ込み、、投げつけ、、挙げ句には、土埃が舞い、、ステージには煙が立つ(・・ほんとか?!)。
一言で言えば、火を噴くのだ。モルゴーアがロックやショスタコーヴィチをPLAYすることはつまり『噴く』のだ!『弾く』なんていう次元で済ませられるものではない。
ほんもののロックには不変の力(エネルギー)がある。でなければ、半世紀を過ぎた現在(いま)においても、わたしたちの魂の枯渇を潤しているなんてことはあり得ない。そうなのだ、時代がロックを求めているのだ!
あまたあるプログレ・バンドの中においてエマーソン・レイク&パーマーはスーパー・グループである。更にはロックすら超越したひとつのジャンルであるといってもよい。それを証明するために、今日のコンサートの後半をエマーソン・レイク&パーマーに絞った。
そして前半はといえば、エマーソン・レイク&パーマーの『前座』と位置づけてはあまりにヘヴィだ。ヘンリク・グレツキも透視メガネをかけてみれば充分に、プログレッシブ・ロック、いや『チェンバー・ロック』そのものである。ショスタコーヴィチに至っては、何をか言わんやである!
1853年のペリー=黒船以来、アクティブな街として独自の存在感を示している横須賀の地に、ついに!と拳を挙げるべきか、なっなんと!!と目を剥くべきか、ともかく、あのアルマジロ戦車『タルカス』が襲来するのだ!
ただならぬ予感・・かつてない緊張感が横須賀の街を覆い尽くしていくに違いない!
固唾を飲んでひたすら11月27日を待ち受けるしかない....。
荒井英治(from モルゴーア・クァルテット)
ロック史上で最も重要なキーボード・トリオと言える「エマーソン,レイク&パーマー(ELP)」は1970年に結成された。クラシックやジャズ、文学の深遠さなどを取り入れたプログレッシヴ・ロック(プログ・ロック、我が国ではプログレと略)と呼ばれた一群の中で、彼等は突出してキャッチーで、ルックスも良く大衆性が高かった。
メンバーはその結成前から知られていた面々。元ザ・ナイスのキース・エマーソン(キーボード)、元キング・クリムゾンのグレッグ・レイク(ベース、ヴォーカル、ギター)、そして元アトミック・ルースターのカール・パーマー(ドラムズ)の3名は結成時それぞれ26歳、22歳、20歳(!)。エマーソンをソリストとした「キーボード版ザ・ジミ・ヘンドリクス・エクスペリエンス」を指向したといわれる。美声でも知られるレイクはリーダーでプロデューサーでもある。そしてパーマーは派手なドラミングで音の土台だけでなく修飾部も担った。つまり全員がフロントマン。
クラシックに対する直接的なアプローチが彼等の特徴の一つ。モルゴーア・クァルテットや吉松隆など、クラシックのミュージシャンに愛される大きな理由はここにあると言えるだろう。ムソルグスキー(ラヴェル編)「展覧会の絵」に歌詞や自作曲を挿入した。チャイコフスキー「くるみ割り人形(ナットクラッカー)」のロック版で、十年ほど前のヒット曲であった「ナットロッカー」を演奏して会場を沸かせた。組曲も複数ありオーケストラとの共演も行った(スタジオだけでなくコンサートでも)。
70年代に発表したアルバムはスタジオ盤が7枚、ライヴ盤が3枚。キャリア前半に発表した諸作の評価が高いが、どのアルバムにも名曲名演があり駄作は無い。
ELPは79年に解散したが91年に再結成、以降は個々の活動を優先させつつELPも継続。しかし2010年のライヴを最後に、2016年にエマーソン、レイクが相次いで亡くなった事から、3人が揃う事は永遠に不可能となってしまった。現在、パーマーがカール・パーマーズ・ELPレガシー名義で活動、今夏には同志といえるイエス、パーマーが在籍するエイジア等とのツアーを行った。
クラシックとの親和性の高さが特色だったELPはしかし、一貫して「ロック・バンド」であった事は強調したい。 3人だけでこの音楽を創るという、かなり強引で無理のある、つまりロックな姿勢を崩さなかった(後半はいささか精彩を欠いたけれど)。ゴツゴツとしたケレン味たっぷりのロック・バンドでい続けた点はもっと注目されていい。
以上は2019年に執筆したものだ。よって上記の3組でのツアーは2019年に行われている。
プログ・ロック第一世代といえる英国で70年前後に登場したバンドの当時のドラマーは現在、
◇ マイケル・ジャイルズ:表舞台からは退いている
◇ アンディ・マッカロック:引退
◇ ビル・ブラッフォード:ドラマー引退
◇ アラン・ワイト:イエスに在籍中だが、サポート・ドラマー常駐
◇ イアン・ウォーレス:2007年死去
◇ フィル・コリンズ:健康を害し、ドラマーとしての完全復帰は微妙
◇ ニック・メイスン:健在
◇ カール・パーマー:健在 という状態が確認出来る。
みな、70・80代の声も近いので当然ではあるが、「現役」といえるのはメイスンとパーマーぐらいだろう。
パーマーは自身のカール・パーマー・バンドを継続している筈だ。
COVID-19騒ぎが落ち着いたらライヴ活動を再開してくれると信じている。
人見欣幸(ひとみよしゆき/音楽ライター)
2021(令和3)年 11月27日 (土) 15:00開演 (14:15開場) 会場:ヨコスカ・ベイサイド・ポケット
S席:4,600円A席:3,600円 チケット発売中
※未就学児童はご遠慮いただいております。