YOKOSUKA ARTS THEATRE

~弥次さん喜多さん珍道中~
劇団ひとみ座特別インタビュー!

大人気テレビ番組「ひょっこりひょうたん島」の人形劇でおなじみの人形劇団ひとみ座が贈る『大江戸人形喜劇「弥次さん喜多さんトンちんカン珍道中」』。コロナ禍でも精力的に活動を続け、人形劇を通じて元気を与え続ける人形劇団ひとみ座の代表、中村孝男さんに公演の見どころなどをお伺いしました。

~新型コロナウイルス禍での活動について~

昨年3月より新型コロナウイルス感染症の影響を受け自粛が続く中、ひとみ座さんは早くより【元気でつながる動画】をはじめ、楽しい動画を多数配信されています。こういった動画を作るきっかけや想いなどを教えてください。

劇団ひとみ座
代表中村孝男さん

今回はコロナ禍の中、ひとみ座の「弥次さん喜多さんトンちんカン珍道中」をお招きいただきましてありがとうございます。動画配信は以前から多少は行っていましたが、新型コロナウイルスの蔓延に伴って芸術創造団体からの動画配信の要望の機運が高まり、私たちの方からもこうした時だからこそ、多くの人の心の支えになれるものがあるんじゃないかと考えました。特に子どもたちは卒園入園、小学校も入学卒業も定かでないまま自粛を迫られ、とても不安定な精神状態に置かれてしまいました。こうした閉ざされ塞ぎこんでしまう心を少しでも和らげてあげる何かができるのではと思いました。そこでこれまで舞台でお会いしたことのある人形たちが映像を通じてですが、子どもたちにエールを送ることにしました。

 劇団も収入源である小学校や幼保育園などでの上演活動がほとんど閉ざされ、存続の危機に追い込まれています。国からだけでなく、川崎市では文化活動への支援金の支給を目的とした個人、グループへの動画配信作品の募集があり、普段の公演作品とは違った、劇団の中でも若い世代の感覚を知っていただけるような、いわばアンデパンダン的な映像も配信することができました。ひとみ座は「ひょっこりひょうたん島」を筆頭にこれまでも人形劇TV、映画などの映像作品を作ってきました。でもSNSなどでも配信できる映像メディアが出てきてからの新しい映像には本格的には挑戦していません。生の舞台の醍醐味、客席の皆さんと舞台との間で交わされるリレーションはこれからの時代、さらに必要度が増してくると思います。ひとみ座がこれまで配信した動画の多くは生の舞台を紹介するためのものです。しかし、今後人形劇を「作品」として動画配信するとすれば、大小長短を問わず映像としての完成度をもっと求めたものにしていきたいと考えています。

今回配信を始めた動画の中で、おすすめの動画等がありましたら教えてください。また、エピソードなどもありましたら教えてください。

【みんな元気でつながる動画!④】『まねっこ くまちゃん』編

様々な時期、制作形態の動画があってどれとは言えないのですが、まだ収束の目途が立たないでこの状況が続くのならば、「元気でつながる動画」シリーズは子どもたちにはお勧めです。

まとめて動画をご覧になりたい方はこちら


また小学校公演向けの「美女と野獣」「9月0日大冒険」「弥次さん喜多さんトンちんカン珍道中」「岸辺のヤービ」はすでに全国公演でも安定した評価をいただいている舞台で、横須賀でも公演させていただいている小学校もあります。また、「リア王」はすでに公演は終えていますが、人形劇の概念を覆す「人形演劇」とも呼べる、等身大の人形たちを駆使した本格的なシェイクスピア劇です。日本だけでなく欧米でも演じられていない規模の舞台です。ただ、これらは生の舞台のほんの一部であって、映像作品として作られたものではありません。是非、生の舞台をどこかでご覧いただきたいと思います。

コロナ禍の活動において、印象に残っている事柄はありますか?

やはり、コロナウイルスによって一度は公演の中止を余儀なくされても二度、ところによっては三度目で予防対策を施して公演を実現してくださった皆さんには本当に心から感謝しています。検温、消毒などいつもと違った緊張感があると思うのですが、人形劇が始まると食い入るように人形たちの一挙手一投足を見逃さないで笑ってくれる子どもたちの歓声に僕たちは支えられているんだ、とあらためて感じました。こうした子どもたちが笑顔になれる場所を、おとなたちはコロナ後もそれまで以上にたくさん作ってあげる義務があると思います。子どもたちは何も言わないで大きくなってしまうのですから。

~今回の演目、大江戸人形喜劇「弥次さん喜多さんトンちんカン珍道中」について~

脚本は、現在俳優としてもご活躍されている佃典彦さん(B級遊撃隊)ですが、ご依頼された経緯などありましたら教えてください。

佃典彦さんとはもう15年以上前ですが、東京の大きな劇場主催でのこどものためのミュージカル人形劇にひとみ座が出演させていただいたときに、脚本を担当されたことがご縁でこの作品の執筆をお願いしました。人形劇の脚本は程あいが難しく、人形ができることを知り尽くした人が書いても新鮮味がなかったり、知らない人が人形劇に夢を託して書いても的外れだったりします。その点、今回の佃さんはご自分でも劇団を主宰されていることもあり展開に無理がなく、まさにツボを心得た軽妙な作品を書いてくださいました。

ひとみ座さんのある川崎は、東海道五十三次の二番目の宿場となりますので、弥次さん喜多さんもよくおなじみの土地かと思われますが、今回は少し寄り道をして横須賀、何か印象などありましたら教えてください。

横須賀はまだ横横道路ができる前から工事中の16号線を走って、小学校や文化会館などで公演させていただいています。歌の文句ではないですが、急な坂道駆け上がると今も海が見える〽、という印象があります。また、川崎と同じ県の東部にありながら三浦半島の中核都市であり、ペリー来航はじめ、幕末あたりから急に近現代史の動きの最中にある町になったように思います。コンビナートの乱立する川崎と共に時代の側面を象徴しているとも言えます。

お芝居に込めた思いはたくさんあると思いますが、弥次さんと喜多さんの旅を通じて、伝えたい思いがありましたら教えてください。また、公演の見どころ聞きどころについても教えてください。

日本はいつからこんなに忙しい国になってしまったのかと考えると明治時代以降の産業発展、言い換えるならば「欧米に追いつけ追い越せ」の経済発展ではなかったのかと思うんですね。150年懸命に走ってきたけれど、どうも私たちは何か大事なものを置き忘れてきてしまったのではないかと思う時があるわけです。今回、この二人のおじさんはそれより前の江戸時代に生きていますが、さあ、皆さんにはどんな風に見えますか?

最後に公演にご来場になる皆様に、メッセージをお願いします。

ともかく、ゆる~とした芝居なので、ゆったりとした長~い目でこのおじさん二人を見てあげてください。横須賀市は三浦半島にあります。半島は半分《島》なのです。それだけで横須賀のみなさんはすでに《ひょうたん島》の島民とも言えます。近いうちに横須賀が外海に向かって走り出す日が来るのかもしれませんね。

大江戸人形喜劇「弥次さん喜多さん トンちんカン 珍道中」
2021年 3月27日 (土) 午前の部11:00開演/午後の部14:00開演
ヨコスカ・ベイサイド・ポケット
全席指定大人:2,500円子ども:1,200円

インターネットでのチケットのご購入はこちら/お電話は046-823-9999

※横須賀芸術劇場では、政府ならびに関係諸機関が策定した新型コロナウイルス感染症対策ガイドラインに基づいてを開催しております。

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