4月29日から約1週間、全国から集まった若きピアニストによる白熱した演奏が繰り広げられ、最終日の5月5日には8名による本選が行われました。今回のコンクールについて、野島 稔審査委員長、そして3名の入賞者に振り返ってもらいました。
野島 稔 審査委員長より
まず今回のコンクールを一言でいうと「非常にめざましいコンクール」でした。 第1次予選から時折びっくりするような演奏があり、第2次予選では、個性的な素晴らしいベートーヴェンを聴くことができ、若いアーティストの能力の向上に驚かされました。最後の本選は、各々個性があり、それが正直に表現されていて、聴いていて面白かったし、嬉しかったです。このコンクールは、順位付けだけではなく、聴衆の前でいかに自分を表現し、それを聴衆に届けられるかが重要で、この真剣勝負の場で自分が出来た事、出来なかったことを、自分の栄養に変え、このコンクールを受ける事で学び、経験し、成長していって欲しい。それが一番大事なことです。成長著しい皆さんには視野を広く持って、色々な音楽に挑戦していってほしいです。
第1位:安並 貴史(やすなみ たかし)さん(26歳・東京音学大学大学院)
[本選演奏曲]
*ブラームス/創作主題による変奏曲 ニ長調 作品21-1
*ブラームス/7つの幻想曲集 作品116
*ドホナーニ/4つの狂詩曲 作品11 より 第3番 ハ長調
◆この1週間はいかがでしたか。
激動の1週間でした。でも毎回大ホールで弾かせていただいて、エチュードとベートーヴェンのソナタと、本当に勉強になった1週間でした。
◆本選のプログラムはどういった意図がありましたか。
私は今、大学院でドホナーニという作曲家を専門に研究しています。あまり知られていない作曲家なので、それを広められたらというのと、彼と非常に深い繋がりのあるブラームスを選曲しました。
◆この劇場の印象はどうですか。
本当に素敵な空間と素敵なピアノで、弾き甲斐があります。でもやっぱり広いので、自分の音が、ここの(自分の近くの)響きだけではなくて、奥の方の響きを聴けた部分も聴けなかった部分もあります。本当に良い経験ができました。
◆副賞として(大劇場での)リサイタルに出演いただきます。意気込みを!
またひとつ背負うものが増えて、それを感じながら前向きに力強く前進していきたいです。この結果でよかったなと皆さんに思ってもらえるように真剣にやっていきたいと思います。
第2位:伊舟城 歩生さん(いばらき あゆむ)さん(20歳・東京音学大学)
[本選演奏曲]
*ラフマニノフ/10の前奏曲 作品23
◆この1週間はいかがでしたか。
横須賀は遠いこともあって移動の疲れもありましたが、ホールの響きもよくてすごく楽しく過ごせました。
◆本選はいかがでしたか。
ホールが広いので、なかなかコツを掴むのが大変で苦労したこともありましたが、結果的にはすごく勉強になったと思います。
◆副賞として(小劇場での)リサイタルに出演いただきます。意気込みを!
曲目を練って、皆さんに楽しんでいただけるように頑張ります!
第3位:山崎 佑麻(やまさき ゆうま)さん(18歳・東京音学大学)
[本選演奏曲]
*バッハ/平均律クラヴィーア曲集第2巻より 第23番 ロ長調 BWV892
*スクリャービン/ピアノ・ソナタ第2番 嬰ト短調 作品19 「幻想」
*プロコフィエフ/ピアノ・ソナタ第7番 変ロ長調 作品83「戦争ソナタ」
◆この1週間はいかがでしたか。
やっぱりコンクールのなかで、少しずつ自分の中で固まってきた部分や成長できた部分があるのではないかと実感しています。
◆本選はいかがでしたか。
短期間で仕上げるということの難しさを実感した反面、自分の本質的なものを少しでも多くのお客様にお伝えすることができたのかなと思います。
◆副賞として(小劇場での)リサイタルに出演いただきます。意気込みを!
初めてリサイタルというものに出演させていただいて大変光栄に思います。非常に緊張すると思いますけれども、頑張りますのでどうぞよろしくお願い致します。
期間中、コンクール観覧にご来場いただいた皆様、ありがとうございました。
入賞者3人は今後、当劇場でリサイタルが予定されています。ぜひ、こちらも足をお運びください。
《第7回野島・稔 よこすかピアノコンクール 結果》
第1位:安並 貴史
第2位:伊舟城 歩生
第3位:山崎 佑麻
入選(順位なし)石坂 奏、和泉 茉莉、大野 志門、福田 優花、丸山 晟民